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沼を泳ぐ

既存のブログを閉鎖しようかとも思ったが、そっちはそっちで自転車の世界の端っこで、ニッチな需要があるようだ。

 

なので消さずに残しておくことにした。消す積極的な理由もないのだが、人の役に立つことができるのは、この世に生を受けて人間冥利に尽きる。この言葉の使い方が正しいかは知らない。

 

娘が2歳7ヶ月ともなると、いよいよ、意志の疎通ができるようになった。

 

言葉は足りなくとも、お互いに何をしたくて、お互いにどんなアクションを期待しているのか、分かってきているように思う。

 

そして、親から言われたことがまさに今やらなければならないことだと分かっている、分かったうえでイヤイヤしているようにみえる。日に日に知能がアップしてますます手強くなってきた。

 

さて、ひさしぶりの貴重な充電期間もいつかは終わってしまう(終わるはずだ、終わらせなければならないはずだ)。ぐじぐじするのももったいないのでアドバイス通りに、さあ、この泥沼を元気に泳いでみることにした。

 

『翔んで埼玉』を観に行った。 映画館なんて何年ぶりだろう。実は放送大学の学生証を持っているので学割料金で観ることもできるのだが、時間を有効に使えることもあり、さらに割引率の高い平日朝1回目の上映で観覧した。

 

映画は埼玉生まれ埼玉育ちの人間としてはとても楽しめる内容で、大変良かった。 そこで会社の福利厚生を利用して割引チケットを入手して、関東地方の某県出身の奥さんにも強く勧めて、週末に観に行ってもらった。 午前中美容院、午後から夕方にかけて映画を観に行ってもらい、そのまま外で食事をしてもらった。ひさしぶりに朝から晩まで娘の面倒を見ていた。

 

娘の面倒を終日見る、とは言っても大層なことはしていない。おむつやおやつを含むお出かけセットとデジタル一眼を30リットルくらいはあるだろうか、1.4㎏の大きく重いカメラリュックに収めたら、娘には麦茶を入れたミッフィーの水筒を持たせる。あとは電車に乗るだけ。首都圏車窓の旅である。自分は鉄ちゃんではないが、娘は電車が大好きなのだ。

 

さいたま市内からJR武蔵野線に乗って、時計回りにぐるっと東京を半周する。乗り換えのために東京駅の構内をひたすら歩かせて体力を削り、下り電車では陽の当たる西側の座席に座ることで眠気を誘いながら戻ってくる列車の旅。コストのわりに座席付きで3時間近くつぶすことができ、なおかつ娘の体力もそこそこ削ることができる、手抜きの旅である。

 

『翔んで埼玉』を見た直後だったので、 常磐線に接続している新松戸を通るとやはりニヤけてしまう。市川塩浜のあたりでは初めて見るはずの海を前に「広いねぇ! 海だよ!」と娘に問いかけ、舞浜を通過するときはディズニーリゾートを教えてあげた。こればかりは娘も「ミッキー!」と大喜びしていた 。デビューは来年かな。地下鉄区間も「トンネルー!」と大きな声で叫んでいた。幼児が叫ぶとうるさいがまあまあ微笑ましくもある。大人がやったら一発アウトだ。

 

東京駅ではオムツ交換のために男子トイレにピットイン。非常に綺麗に整えられていて、安心して使うことができた。それと京葉線からの乗り換えでは、エスカレーター好きな娘は動く歩道も大喜び。降り口が近づくと数メートル前から片足を高く上げて準備しているのが微笑ましかった。懸念した無限ループは杞憂だった。

 

道中は行きも帰りも吊り革に掴まりたがって、特に武蔵野線の乗車中3分の2は抱っこする苦労もあったが、好物のおやつを取り揃えていったことも功を奏して娘は終始ご機嫌。東京駅をしっかり歩かせたこともあって、帰宅してしばらくは一人遊びをしていたがやがて力尽き、翌朝までぐっすり寝てくれた。デジタル一眼は出番が全くなかった。無理だった。

 

腕は痛いが、まぁ楽ではあった。娘には悪いかもしれないが、頑張らないことの、なんと楽で素晴らしいことか。