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孤独な毎日を送る中で

お気に入りのブログから40代で子育て中のトップサイクリストのものを2つ紹介する。

※僭越ながら直接リンクを張った。




図らずも孤独な毎日で、気が楽であると強がっておこう。

人との関わりが煩わしかったり、人が恋しくなったり、自分本位で自分勝手で、ないものねだりである。


それを書き連ねている方がいる。

去年の春からずっと継続してチェックしているのが、アマチュアサイクリスト筧五郎さんのブログである。


筧さんはNHK-BSで放送中の自転車番組『チャリダー★』に出演中の方である。


アマチュアとはいえ、その実力は日本トップクラス。シクロクロスのマスターズでは全日本チャンピオンである。


自転車の、特にロードバイクのブログなんていうものは、その多くが誰とどこを何キロ走ってその強度は何ワットだったとか、レースに出てスタート位置は何列目に並ぶことができて何周目でどこのチームの誰がアタックして逃げて、その後集団がどういう動きをして最後のスプリントではこういう展開で、その結果何位だったとか。


そういう報告について、個人的には全く興味がない。


いつ誰がどこをどんな速さでどのくらいの距離を何ワットのパワーで心拍数平均いくつで走ろうと、それを知ったところで自分の人生には1ミリも影響がない。


それよりも例えばトレーニングなら、その練習メニューを行うに至った経緯や、メニューにトライした結果、自身の内側にどんな変化が起きて、次のライドにどのように向き合っていくのかを綴っている文章であれば、いくらでも読みたい。


筧五郎さんのブログを好きな理由はこのように、練習記録だけでなく、この人の心の動き、胸の内がこの人の言葉で、飾られることなく語られているところである。


トップ選手でも日常生活で悩んだり苦しんだり、ときには軽い「うつ」っぽくなったりしながら、その様子が毎回生々しく語られている。誤字脱字が多くて読みづらいのも、この人の独特の文章として好きだ

(もちろん会ったこともなくて、テレビで見るほかはどんな人かも知らないけれど)。

筧五郎さんブログ56CYCLE


同じくアマチュアレーサーの高岡亮廣(あきひろ)さんの文章も好きだ。会社にお勤めの方であるが、プロにも引けを取らない実力者であり、キャラクターは全く異なるが筧五郎さんとも交流がある。


高岡さんはもともと学生時代にインカレで優勝したり、23歳以下の世界選手権に出場したりしていたが、就職と同時に一度は引退。30歳頃から再び復帰したサラリーマンレーサーである。


機材の選び方などについて「何グラム軽くなった」だけではなく、それを選ぶまでのプロセスをご自身のお考えとともにロジカルに綴られている。


もちろんレースレポートもそうだ。そして思惑通りの展開になったときは「しめしめ」とおっしゃる、僕はこれを「タカオカブシ」と勝手に名付けている。


昨年秋から、それまでのはてなブログから有料のNoteに移られたので、お金を払って数ヶ月間、購読した。月300円、ほぼ毎日更新されているので1日10円だ。購読をやめた理由は些細なことで、購読を再開しない理由もまた些細なことなので、ここでは割愛する。

はてなブログRoppongiExpress

Note 六本木自転車生活


読書感想文と一緒である。あらすじを書いて終わり、ではなくて、その作品のどの部分からどのような心の変化が生じて、その結果その後の人生にどんな影響を受けたのか、その内面の動きを知りたくて、その点、お二人の練習日誌やレースレポートはただの報告に終わらず、そのとき発生した事象に対してどんなことを思い、どんな気持ちでどんなアクションを取ったのかを克明に綴ってくださって実に興味深い。


育児を含む日常生活の悩みも赤裸々に綴り、それぞれ「人間」がちゃんと「人間活動」をなさっているのがよく伝わってくる。私生活の悩みや持論の展開も好きだ。


高岡さんはある大きな大会で優勝したときにサラリーマンとの二足のわらじとして日経にも取り上げられたことがあり、そのときに晒されたゴールドマン・サックスにお勤めで今も港区麻布のあたりにお住まいのエリートサラリーマン高岡さんがセブ島旅行で、大都会東京のど真ん中に生まれ育ったお子さんたちとスラム街に迷い込んでしまった話とか、これは有料コンテンツなのでこれ以上詳しくは触れないが、そんなことまで書くロードバイク乗りもなかなかいないと思う。


人との関わりがなくなってしまった今、いつにもまして、そういった人の心の機微に触れたくて仕方がない。