大して言葉を選ばずに書く。
5歳上の残念な兄がいる。
もはやこの20年会っていないので、「いた」と言うべきか。
僕は物心ついたときから兄のことがずっと嫌いだったが、長くなるから理由はここでは書かない。
自尊心だけが異常に高く、やっと見つけた就職先に馴染まず(not馴染めず)問題を起こして一年持たずに退職。
自尊心が高いから家族一同ちっとも応援できない。
その後「自殺してやる」と息巻いて数週間出奔した後、コンビニ弁当万引きの咎で北関東の警察から連絡があって両親が迎えに行ってから、ニートとなった。
身体的に健康上の問題はないらしく、引きこもりとも異なり、ぷらぷらしたニートなのである。
ここ最近はゴミ収集の仕事に就いたと聞いたが詳しくは知らない。
そもそも僕は実家がどこにあるのかも、○○市のあの辺、くらいしかよく分からない。
母とは数カ月に一回程度の頻度で、娘の関係で顔を合わせる。
僕が働き始めた頃に、今はもう取り壊された生家の団地で、両親の前で兄と殴り合いをやった。
そして両親から「お前の人生のために、もう二度とここに来るんじゃない」と言われて、僕は帰る家を失った。
「あの子は私達が親として責任を持って死ぬまで面倒を見る」
母はそう言った。
母は辛抱や我慢をすることが美徳だと捉える癖があって僕はそれ以外は常識的に思える母のその面だけが何となく理解できず、もちろん尊重はしている。
それしかない。
今の実家の近くに小学校があるかどうかは聞いていない。
僕の知っている兄は小心者だけど、今の血縁上の兄が現在どういう人間かは知らない。
無職引きこもりのアイコンを持つ人が社会に大きな影響を与える事件を起こすたびに、「次はうちの番かな」とぼんやり思う。
もしかしたら、いっそのこと起こしたほうが本人にとっても両親にとっても楽なのかもしれないと、昔、母の「人知れず死んでくれたら」的な発言を聞いて思ったことがある。
「親だから」と理由を付けて嫌なこと、そこまでやる必要のないことをやる、「火中の栗を拾う」とはまた別の全く違った感覚が僕には理解できないが、それが母の美徳なのだろうから好きにすればよい。
嫌々やっていることは兄にも分かるだろうに。
父は兄に対してもう少し泰然自若というか、今はどうか知らないが僕が同居していた当時は子供に興味関心もあまりなく、バブルに乗って40代で脱サラして個人投資家となり、時代の波で景気よく踊っていた。
資産が3億を超えたところまでは聞いたが、バブルが崩壊した90年代半ばから風呂が2日に一回となり、夕食のおかずが毎日イシイのレトルトハンバーグとなり、その後、ITバブル後の2006年頃に自慢げに見せられた源泉徴収票が4,500万円で、わざわざ見せてくる、自慢してくるということは相当なこと、追証2,000万即日納付とかするタイプだから、手持ちの株式を大量に処分した、処分せざるを得なかったんだなと思った。
今の資産状況は知らない。
僕自身が最初の会社でIR担当だったことから、バブル当時に父が四季報に名前を載せた銘柄が片手の指では足りなかったのを思い出し、父の信用2階建て取引の荒稼ぎっぷり、取引の派手さを知ることとなった。
父は利殖にしか興味がなく、僕と兄はいずれも中3で近所の賃貸マンションに出された。
株式投資の邪魔だったのだ。
でもそんなことはどうでもよくて、相続や遺産継承、身内が不慮の事故で命を落とすときのことは常にシミュレーションしている。
それは、残念な兄を持つことの利点である。
身内に犯罪者予備軍がいる。
そう考えることは兄に対しては人として大変失礼ではあるが、現実問題としてはそう考えざるを得ないことには、もう慣れてしまった。
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