奥さんと娘が帰省している間、ロードバイクでグループライドに行ってきた。
誰かと走るなんて数年ぶり。
今回参加したサイクリングの主催は出産前に奥さんとともにお世話になったサイクリングサークルである。
SNSではちょこちょこ繋がりがあり、今回ひさしぶりの参加申し込みを打診したところ、参加を快諾してくれてありがたい限りだった。
とはいえ、数千円の有料ライドだし、主催者の話によると最近は会員数が若干の減少傾向にあるらしく、よほどのサークルクラッシャーでなければ断られる理由もないし、歓迎される温かい空気だった。
2日間参加してみて、グループライドはとても楽しかった。
どちらも山岳中心のライドで初日は比較的穏やかなコース、2日目は上級者向けのコース設定がなされており、参加メンバーも自分と運営スタッフ以外は初日と2日目とでガラッと入れ替わり、とても興味深いライドだった。
そもそも実走✕山岳という、平地に住んでいる育児中の人間にはとても叶わないシチュエーションが、登坂が好きでもない、むしろ苦手でたまらない僕にとってなぜかすごく楽しかった。
初日はロードバイク初心者が中心で坂もなだらか。
僕もデジタル一眼を持っていく余裕があって、動くものを撮るという貴重な経験を積むことができた。
2日目はさすがに手練が多く、速い遅いに関係なく総じてバイクコントロールが上手い方々が集まって、とても勉強になった。
で、参加してみてよかったことをまとめてみた。
まず実走だったこと。
ZWIFT✕4本ローラーだったのが、直射日光下で空気抵抗を感じる実走。まあこれだけなら最近復帰した荒サイとそう変わらない。
ポイントは普段行かない山岳、林道で木陰や水のせせらぎ、住宅街ではなかなか見られないたくさんのチョウを見られたこと、モンキアゲハなんかが迫力満点な大きな翅を広げて「これでもか」というくらい何匹も舞っていて最高だった。
それを複数名でのライドで、だ。
これがよかった。
集団走行なので車間距離はもちろん、他の人の動きを見ながらのバイクコントロール。
ZWIFTと異なり、メンバーそれぞれのライディングスタイルをつぶさに見ることができる。
登坂におけるダンシング&シッティングの使い分け。
チェーンリングとスプロケットの歯数の組み合わせ、勾配に合わせたギヤの選択とシフトチェンジのタイミング。
下り坂も重心移動、ブレーキングのタイミング、路面状況への対処。
色々なことを考えながらクランクを回さなければならないある種のスリルというか、エキサイティングな時間。
グレーチングひとつとっても差し掛かったらバイクを倒さずクランクも水平で慎重に通過、MTB経験者はバニーホップで飛び越える。
乗車姿勢もみんな一様に整っている。
変に力むことなく機械的なペダリングで、リニアモーターカーのようにスーッと進んでいく。
そういったことについて気付けた自分はそういったことについて気を付けながら走れたということか。
唯一の不満は食事かな。
競技志向ではないので、きちんとしたお店で腰を落ち着けて食べたわけだけど、某店が非常に残念で悔しい。
驚くほど不味い、というか味がしなかったりする。
何だこりゃ、これで1,000円取るのはびっくりだな。
健康志向、ロハス、そのほか「ていねいに生きる」、「自然と向き合う」。
こういったキーワードを前面に掲げた食事処はまずもって、高くて不味い。
健康を追究するために化学調味料を控えるなどして、味は二の次なんだろうな。
それは、まあ分かる。
腹が立つのはその上で味について美味しさをアピールしてくる姿勢。
行き過ぎた健康志向は宗教だと、常々思っている。
ビジネス界隈での意識高い系なんて序の口、少し前の「ノマドワーカー」ブームや「ミニマムライフ」、「断捨離生活」に近いものがある。
食事の例で言えば、健康志向の前に、薬膳料理が先に来ている。
山岳コースであることの立地やキャパシティの問題から消去法的に今回選ばれたであろうロハスカフェ系レストラン?は、頭が空っぽな若い子にはウケるんだろうな。
このサークルがそういった層を取り込みたいというのであれば、それはもう仕方がない。
それなりに齢を重ねて、「美味しい」をそこそこ知ってしまっている僕のような中年男性、40歳でまだまだ中年と呼ばれることに抵抗のある方には申し訳ないが、少なくとも僕にはえぐみしか感じられないベチャッとした山菜の天ぷらや、極端に盛りが少なく何の工夫も感じられない蕎麦・うどん、安っぽい米飯を自信たっぷりに出されると何とも言えない悲哀というか、食事を供する職の方と自分との味覚の断絶に残念至極であるとともに、それを「美味い!」「美味しい!」と手放しで褒め称える方が少なからずいらっしゃったのがほんのり残念。
ひさしぶりのグループライドで、参加していた数年前までは食事処のチョイスも毎回素晴らしかっただけに、今回のあの一店だけは、常日頃から嫌悪していたカルチャーのど真ん中であっただけに、どうしても許すことができないのであった。
数日経った今も思い出してはイライラする。
後日、それなりの高級料理店を営む知人とそれについて話す機会があって、やはりその知人もそのお店について実際に利用してみて強い疑問を覚えたということだったので、僕が勝手に良識的であると信じる彼と価値観が同じなことに安堵したのであった。
話がそれた。
お盆期間中だったため、帰省の予定がない方々の参加、半分くらいは独身・DINKSの方々だったこともあって、そもそも交友関係を持たないここ数年の僕にとっては新鮮な交流だったのもよかった。
次のチャンスは年末年始か。
さすがにそのタイミングでのグループライドは難しいだろうから、そうすると来年のゴールデンウィークになるのかな。
奥さんと話したけれど、乳幼児を連れての帰省は義実家的には兄弟姉妹が集合するタイミングが好ましいようで、9月の連休は難しいとのことだった。
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